2012年2月1日水曜日

今時映画館事情(昔若かった者の感想)

息子夫婦から 「ALWAYS 三丁目の夕日'64」という映画の切符を贈られた。


 私の頭の中にある映画館は昭和30年代後半から40年代前半の約10年間のものです。「映画の前売り券」と聞けば当然のこと「銀座、有楽町辺りの封切り館の指定席券」が頭に浮かびます。しかし、切符を見ると映画館の名前も座席も書いて無いではありませんか。


 とりあえずインターネットで 「ALWAYS 三丁目の夕日'64」の公式HPを見つけ、上映している場所を探しました。なんと、全国各地でいっせいに公開されているんですね。何しろ若いときも映画は余り見なかったのですが、30年以上前の映画館のイメージは全く書き換えなければいけないと悟った次第です。当時は、町の3本立ての映画館同士がフィルムを自転車で運んで共有して上映していたのですから、今の若い方には想像も付かないでしょう。 「ALWAYS 三丁目の夕日'64」の時代が正にそんな時代だったのですね。


 近所にも3箇所ほどこのプログラムを上映している映画館がありましたので、それぞれの映画館のHPにアクセスしてまたまた私の頭は混乱し当惑すると共に探究心を掻き立てられました。昔の映画館名は「〇〇シネマ」だったのが、なぜ「〇〇シネマズ」と「ズ」が付いているのかが分かったからです。一つの名前を名乗っている映画館は、複数の映画館の集合体なんですね。母親から、その昔、浅草に「3館共通」という映画館があり1枚の切符で自由に3館を行き来でき、入れ替えももちろん無いという制度だと聞いていました。ですから、7つも8つもある映画館を自由に行き来できるのかと思ったのですが、どうもそれぞれの映画館の座席数が大きく違うのと、併設されている映画館の数が余りにも多いのでそんなことは無いだろうと思ったのですが、ここで私の想像力はギブアップでしたね。


 そこで「伝家の宝刀」ではありませんが「困ったときのGoole頼み」で「最近の映画館」[検索]とやってみました。出てきましたよ「シネマコンプレックス」「シネコン」です。今の映画館はこの「シネマコンプレックス」というシステムになっているんですね。一つの名前を名乗っている映画館の中の複数の映画館は「映写室」「スクリーン」などと呼ばれているんですね。


 このシステム、興行する側にとっては大変効率的に施設を運用することができ、映写機の自動化や信頼性の向上とあいまって少人数のオペレーターで多数のプログラムを同時進行的に上映できるために普及しているシステムのようですね。このシステムに不慣れな私にとっては座席も決まっていない、日時も決まっていないという、見る側にイニシアティヴが全く与えられていないシステムで何ともしっくり来ない不安な状態のまま予定を決めることを強いられる印象でした。上映期間も1週間先までしか確定していないので長期的に計画を立てることが出来ないという点でも大いに不満を感じるシステムですね。


 今日、午前中に上映している映画館が3館有ったのですが。良く注意して見ると、一つの映画館でも通常の映像のものと3D映像のものがあり、3D映像のプログラムを見るにはその映画館のその時間のその映写室に行かなければならないということらしく、それは、映画館に着いてから何らかの手続きをすることで、初めて座席も確定するのだろうと考えて少し早めに家を出ました。


 私の頭の中にある映画館は、大きな看板とスチル写真が入場券売り場を飾っていてどこから見ても映画館がここにあると主張しているものでした。しかし、新しい大型商業施設の中にあるその映画館は、施設内に入ってもどこにあるか分からないほど目立たない存在なんですね。ようやく探し当ててチケット売り場らしいカウンターで予想通り映写室と座席を決められて入場券を手にすることが出来ました。とにかく案内が「漢字」で表記されていないために、目的の場所を認識するのにかなりの戸惑いを感じます。(漢字を再評価しますね。)


 まあ、私たちが不慣れなせいでもありますが、スタッフの対応は決して悪いとは言いませんが、何か「無機質」「事務的」で余り好感は持てませんでしたね。入場が上映10分前というのもずいぶん忙しいと思いました。それまではロビーで待たせて、アメリカ的なファストフード(ポップコーンとかポテトチップスのような)を販売していて館の中ではこれ以外は飲食禁止となっているので、年寄りにはあまりしっくり来ない雰囲気でしたね。館内は小奇麗に管理されていますが色使いやレイアウトも落ち着けない雰囲気でした。


 帰りに、別の商業施設にあるレストランに入ったのですが、ここも、入り口は仰々しく、メニューはもっともらしく作られているのですが、いたるところコストカットの跡があらわになっていて「今日の経済、社会の情勢を反映しているんだなあ」と実感すると共に 「ALWAYS 三丁目の夕日'64」の時代との大きな違いを実感したのです。


 


 

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